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~特別企画~未来へつながる今、今につながる過去 第1章:高校時代

アルビレックス新潟で力を尽くし、戦った選手の「今」と「未来」、「過去」についてインタビューを行った特別企画。登場いただくのは、アルビレックス新潟ユース(現U-18)からトップチームに昇格し、2008年から2011年に在籍した長谷部彩翔さん(普段呼んでいる「彩翔」という呼称で進めさせていただくことをご容赦ください)。第1章では、プロサッカー選手を目指して、サッカーに打ち込んだ高校時代について振り返っていただきました。

 

―彩翔は、自宅から新潟西高校に通学して、その後聖籠町のアルビレッジでトレーニングをしていたよね。移動距離や時間の面でも、ハードだったと思う。
「今考えると、よくやっていたなと思いますね。朝は7時台の電車に乗って、夕方はトレーニングに行くために、新潟西高校までバスで迎えに来てくれていました。家に帰るのは21時や22時でしたし、自分でも『タフだったな』と思います」

 

―今のU-18の選手たちは、サッカーに専念できる環境にいるけど、当時の彩翔が置かれていた環境だったからこそ、学べたこともあるんじゃないかな。
「当時はまったく苦ではなかったです。今では絶対にできないと思いますね。夢中になれること、目標があれば何でもできるというか。その気持ちを忘れずに今もやりたいですけど、大人になるとなかなかそうはいかない(笑)」

 

―高校では『プロになりたい』という一心。アンダー世代の日本代表に選ばれたり、トップチームのトレーニングに参加したりすると、相当忙しかったよね。
「無我夢中でしたね。でも、高校時代が一番充実していたかな」

 

―サッカーもそうだけど、勉強もしっかりやっていたよね。
「電車やバスの移動が多かったので、その間に。勉強は、学年1位の古寺(古寺広幸さん)がいましたから。スーパー天才が(笑)アイツ、巻から通っていたんですよ。自分よりも時間ないのに、それでも学年1位。やっぱり頭が違いましたね(笑)でも、僕も学年3位になったことはありましたよ。サッカーを一緒にやっていて、勉強時間もほぼ一緒なのに、『ここまで違うか!』と思いました。どれくらい勉強していたのか聞いたら、(古寺さんは)1~2時間でしたけど、それで頭に入るのが僕とは違う。僕は一夜漬けタイプでしたから」

 

―彩翔は、要領よくポイントを押さえるタイプだよね。それに対して、カズ(大野和成選手、現湘南ベルマーレ)はコツコツ地道に積み重ねていくタイプ。
「僕は長続きしないタイプなんですよ。目標に対して最短で行きたがる。店長になったのもそうですけど、何でも最短距離で行きたい」

 

―(高校時代の)仲間とのつながりは、今でもあるの?
「毎年、年末にみんなで集まっているんですけど、僕は家族の予定があったりして、なかなか行けていないですね。でも、3年前くらいに一度行きましたね。高徳(酒井高徳選手、現 ヴィッセル神戸)から何度も電話が来て、『彩翔くん、来てください』って(笑)」

 

―高徳の本(2019年に出版された「W~ダブル~  人とは違う、それでもいい」)でも、彩翔のことは書いてあったよ。
「そうなんですか?読んでなかった」

 

―名前が出ていたから、てっきりもらっていたのかと思っていた(笑)
「(取材者が持参した酒井選手の書籍を読んで)懐かしいですね。嬉しいですね。高徳とは今でも連絡を取っているので、今度本をもらいます(笑)車の関係で、昔のチームメイトから相談を受けることもありますよ。ありがたいですね。この間もユースの同期に買ってもらいました」

 

―彩翔の経験を踏まえて、アカデミーの後輩たちに伝えたいことってあるかな。
「プロサッカー選手になることがゴールではなく、活躍することがゴール。そこにゴールを置いた方がいいと思います。自分は(プロサッカー選手に)なることがゴールだったので、なってからはさらに上にいくことができませんでした。なるのは当たり前、通過点でしかないです。よくプロになった選手が『スタートラインに立った』と言いますけど、もっとその先にゴールを置いてほしいですね」

 

第2章は、一緒にプロサッカー選手としてのキャリアをスタートした同期の選手たち、そしてご家族について伺いました。5月31日(日)掲載予定です。

 

■長谷部 彩翔(はせべ あやと)
1990年2月6日生、新潟県出身。アルビレックス新潟ユース(現U-18)からトップチームに昇格し、2008年にプロサッカー選手としてのキャリアをスタート。2008年アルビレックス新潟、2009年JAPANサッカーカレッジ(北信越フットボールリーグ)、2010年ツエーゲン金沢(当時JFL)、2011年アルビレックス新潟、2012-2014年FCガンジュ岩手(東北社会人サッカーリーグ1部)でプレー。2015年に引退し、中古車買取・販売事業を行う株式会社IDОМに入社。現在は、ガリバー新潟桜木インター店の店長を務めている。