【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第534回
「新潟史上最高を目指して」
J1第2節、清水×新潟。
開幕戦(横浜FM戦)の内容があまりにも良く、大期待して迎えた第2節です。特に前半のパフォーマンス(マリノスに何もさせなかった)は日産スタジアムの記者席でも賞賛の的でした。新任の樹森大介監督は堅牢なポジショナルプレーをチームに根付かせたと思います。これは樹森監督、吉本岳史コーチも手応えを感じたでしょう。短い期間でタスクを理解し実行した選手らも大したものです。僕は2節清水戦こそチームの初勝利だと勇んで日本平に出かけました。アイスタは久しぶり(8年ぶり!)で、報道受付の女性に「記者控室や会見室の行き方、なんとなーくうっすら覚えてます」と言ったら笑われましたね。
初勝利のカギはスタメン秋山裕紀かなとにらんでいました。開幕戦のスタメンに名前がなくて驚いたんです。(アルベル→松橋アルビを継承・連続させる)樹森アルビのキーマンじゃないでしょうか。開幕戦は橋本健人が良かったなぁ。もちろん太田修介も武器ですね。開幕戦の先制ゴールは惚れ惚れしました。アルビの課題は依然として得点力です。点が取れればグッと見通しが立つ。太田修介コメントじゃありませんが、「1点じゃ足りない」んですよ。
この日、日本平は大変な強風でサポは体温を奪われ、凍えていました。ピッチ内にも顕著な影響がありましたね。樹森アルビが開幕からトライしている裏抜けは、長いパスが流れたり、逆に止まったりして難しいものがありました。強風だとどうしてもある程度、パスの精度は落ちますね。チューンアップされたチームだから、パスがビタッと通ればもっと面白い展開ができたでしょう。
で、この試合のポイント、秋山一発レッドです。前半26分、清水・乾貴士に足をかけてしまった。上記の通り、初スタメンの秋山には期待大でしたから、これは凹みました。そこまでのアルビは良かったんです。まぁ、退場後も数的不利のなか善戦した(特に前半の残り時間、互角にやり合っていた!)んですが、やっぱり局面局面で一枚足りないんですよね。後半はビハインドを背負って、3バックにして打開を試みますが不発に終わりました。
僕は開幕戦の「PK献上」と2節清水戦の「一発レッド」について考えます。いや、まだこのチーム見始めたばかりだから確たることは言えないんですが、これデュエルとかインテンシティ強調が逆目に出てるってことありませんかねぇ。樹森監督はメディアに向けて、目指してるサッカーについてある程度できてるけど、「そこにフォーカスしすぎている」っていう言い方をされてるんですよ。それはタスクに縛られてて、自由度やひらめきがまだ足りないって意味かなとは思うんです。ぎちぎちで余白がない。で、そこにもう一つ、「強度」を頑張らねばという意識が加わって「PK献上」「一発レッド」になったんじゃないかという、まぁ、見立てですね。
秋山の「一発レッド」ってものすごく意外じゃありませんでした? 現地では一瞬、何があったのかわからなかったほどです。っていうのはそんなに無理して行く場面でもなかった。え、ウソだろ? 行っちゃった?、という感じでしたね。だからいかにも「軽率なプレー」っていう風に受け取られて、サポからも苦言を呈されているんだけど、僕は秋山ってそうかなぁと思うんですよね。開幕戦「PK献上」の宮本英治もそうだけど、サッカー知ってるタイプの選手でしょ。もちろんサッカー選手はファウル覚悟で止めることもあるけれど、そんな風にも見えない。
僕はマジメにやりすぎてる=「そこにフォーカスしすぎている」んじゃないかと思うんです。樹森監督の「ボールを失った瞬間の切り替えの強度」ってテーマを皆、理解し頑張っている。頑張っているからこその失敗です。これが板に付いてくれば一段レベルアップしますよ。まぁ、今は仮免ですね。マスターしたて。ついついやりすぎて、結果、チームは未勝利にとどまっている。つまり、チームビルディングの過程の1ステップって理解ですね。
近道はなくて、実戦と練習を重ねていくしかないかなと思います。その意味でミゲル・シルヴェイラ、ジェイソン・ゲリアを試合に出せたのは、敗戦のなかの収穫でしたね。チームビルディングを考えればメンバー固定で仕上げるのが早いけど、他の選手も「仮免」で路上教習(?)させとかないと、次がありません。ミゲルなんかあの時間では気ばかりあせって何もできなかっただろうけど、試合に出たのは良かった。
と書いてたら鹿島戦の水曜日が来てしまいました。行ってきます。初勝利を見てきます。
J1第3節、鹿島×新潟。
ぐわー、初勝利見られませんでした。鹿島セットプレー強い。そしてハイプレスきつかった。矢村健に待望の「J1初ゴール」が生まれたのはいいけれど、2点目が遠かったですね。得点力だなぁ。もしかすると今のアルビはしっかり守ってウノゼロで勝つしかないんだろうか。ゴールへ向かう矢印が鹿島は「⇒」、アルビは「→」って感じなんですよね。線が細い。平易な言葉になおすと「迫力不足」。よくバスケのコーチが「エナジー」って言葉を使うでしょ。チームとしてのタスクはいっしょうけんめい頑張っているけど、「エナジー」が足りない。躍動感がない。3戦見たなかではマリノス戦の前半がいちばん良かった。あれは先方の5バックが後ろに残ってて、中盤で人が余ってたおかげだったのか。
まぁ、次はホーム開幕戦だからサポの「エナジー」をチームに注ぎましょう。今、結果が出てないことで自信を失ってしまうのがもっともよくない。まぁ、それに樹森アルビは開幕3戦ずっと旅暮らしだった「雪国ハンデ」もあります。新任監督のスタートダッシュってそもそも難しいですよ。そこに「雪国ハンデ」が乗っかったんです。苦労したら苦労した分、初勝利の感激が倍増ですよ。スワンで勝ちましょう。こんなことでめげてたまるか!
附記1、樹森監督の会見コメント&インタビューは読みごたえありますねー。ホントに率直に語る。そして考え抜かれている。ちょっとJリーグの監督さんでも出色じゃないでしょうか。
2、宮本英治選手が清水戦でJリーグ通算100試合出場を達成されました。おめでとうございます!
3、「3戦で勝点1」なんで、つい記事もネガティブなトーンになってますけど、子細に見れば良いところいっぱいありますよ。星雄次の存在感を見てください。勇気がわいてきます。