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大きな背中

國井です。

【高知キャンプ24/32日目】今日は午後のみのトレーニングとなりました。試合翌日のリカバリートレーニングも「この時期だからこそできること」と、片渕監督はかねてから考えていた、新しい守備方法を共有しながらランニングを行なっていました。「極論を言えばシステムは関係ない」と、基本布陣は保ちつつ、相手に合わせる戦い方も必要だと監督は考えている様子。しかし、シーズン中に急きょ、新しい手法を取り入れて選手たちに動揺を与えるよりも「落ち着いて取り組めるならやっておいたほうが得策」と、今日に選手たちと共有した布陣を報道陣に説明していました。

 

選手による昨日の試合の振り返りやキャンプの感触などは、現在いらっしゃっているメディアの皆さんの情報をごらんいただけたらと思いますが、今日の当ダイアリーでは岩打弦大通訳を紹介したいと思います。「まだ新潟には4・5日しかいない」と、サポーターの皆さんにお会いする機会の少なさに恐縮していますが、激励会で創出していただいた風景は色濃く印象づいています。新卒社会人の岩打君は、ブラジル人選手と日本人とのコミュニケーションをつなげるために、悪戦苦闘の日々を過ごしています。

 

福島県の尚志高校3年生のとき「自分のなかで進学という選択肢より、純粋にもっとサッカーがしたい」思いが強かった岩打君。中学時代のクラブチームの恩師の勧めで、卒業後はブラジルへサッカー留学をします。「2年間と決めていた」岩打君は、三浦和良選手が初めてプロ契約したキンゼデジャウーのU20のカテゴリーで中盤を主戦場に、サッカーへ集中しました。「まったくしゃべれなかった1年目も、親切なチームメイトが遊んでくれたり、家に泊めてくれたりした」と、ブラジル人の親切さに感銘を受けたのが、現在の仕事を志した源流。

 

2年目となる2016年「自分の中でのサッカーはやりきった」岩打君は、ひたすら繰り返し話したポルトガル語が板につき、シーズン終了後の9月から地元のスポーツクラブで子どもを対象としたサッカー教室のコーチなどをして、さらに言葉を磨きます。より言葉を習得したいと2017年にはサンパウロ州の小さな大学に入学します。口語だけでなく文語にも取り組み、2018年までの2年間はスポーツクラブやかつてお世話になったキンゼテジャウーでのコーチ補助をしながら、学業に励みました。

 

社会人駆け出しの23歳は「通算150日はファベーラ(貧困地域)の友人宅へ泊まったことが、何より言葉が身についた」と、銃声を聞くなど危ない経験もしましたが、笑いながらその充実振りを話しています。約一ヶ月、新潟のチームの一員として過ごし「ピッチで監督が話すことを、チームのトレーニングのリズムを乱さずに通訳する基治さんは、本当にすごくて尊敬しています」と、大先輩の背中の大きさを実感。通訳の難しさにも、極めたい一心で毎日の仕事を楽しんでいる様子です。

 

ファベーラの中にある小学校へ訪問した経験も多く、貧しい子どもたちに折り紙を教えるなど日本の文化を広める一面も持つ岩打君。まだまだ、話の種は尽きませんが、今日はここまでにしましょう。がんばれ弦大!