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尽くす

國井です。

 

【高知キャンプ30/32日目】今日の高知県は寒く、選手たちは厚着をしてトレーニングに臨んでいました。新潟と比べれば断然に暖かいとはいえ、競技場の上にそびえる山から吹き抜ける風はとても冷たかったです。リーグ開幕が来週に待ち受けているなかで、ケガだけは避けたいところ。トレーニング開始直後のウォーミングアップから、コーチ陣は選手たちにたびたび声をかけて、体を仕上げるようにと目を向けていました。広瀬選手の離脱は本当に悲しく、本人としても悔しそうな表情を浮かべていましたが、これ以上の長期離脱選手を出すわけにはいきません。過度なコンタクトを回避しながら、緩まずにピッチで戦うのは難しいと思いますが、チーム内で気を配りながら強化の道をたどってほしいと願うばかりです。

 

高知での約1ヶ月のトレーニングキャンプで、選手たちは多くのチャレンジを続けて来ました。去年のベースにあった縦に速い攻撃を研ぎ澄ますトレーニング。そして、カウンターの道を塞がれた際の、ボールを保持した攻撃にも多くの時間を割きました。また、対応力を増していくために、システムをいわゆる4-1-4-1にして試行を重ね、基本動作の理解を進めてもきました。得意なこと不得意なことがそれぞれの選手にあっても、弱音を吐くことなく、必要なことをインプットしてきました。

 

さまざまなことを体と頭に叩き込んだ選手たちは、プレーで表現する「アウトプットの期間に入った」と片渕監督は話していました。適材適所の動きを選択しなければなりませんが、詰まる場面は当然あります。しかし「オフザボールからオンに切り替わったときの意識が低く、周りが見えていない」と、加藤選手が自身の課題を話すように、それぞれが明確に改善点を分かっているのは頼もしいことです。明日からのトレーニングゲーム、その後の新潟でのトレーニングでは、急速にプレーイメージが合わさってくることと期待します。

 

「序列が分かってきているはず」と、片渕監督は18人のメンバーを選択する鋭い目つきで話します。大所帯であるチームとあって、約半分の選手がピッチに立つ権利を持てない現実があります。藤田選手は悔しい想いを払ってでも、チームファーストでやるべきことを続ける決意です。正直に「周囲ができていて自分ができていない」と、不甲斐ない気持ちになることもあります。それでも会話の中で「アピール」という言葉を繰り返し、メンバーの椅子を手繰り寄せようとトレーニングを続けています。

 

残念ながら、練習試合に出場する時間も極めて少なく、肩を落としている姿を見かけますが「ボールの置き所、キャッチングから立ち上がるときの体の向き」など、ジェルソンコーチからの教えに沿って、練習に集中しています。年齢的に一番の若手が腐ることなど毛頭ありません。ピッチに立つことを第一目標に据えながら「サポートの形はいろいろある」と、チームのために粉骨砕身の覚悟です。プロ1年目の悔しさや苦しさ、葛藤が藤田選手の成長には不可欠。野心と協調を胸に秘める藤田選手は、故郷のために必死にくらいついていきます。