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元気ですよ

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宮本英治選手が5月3日(金・祝)サンフレッチェ広島戦で負傷してから、今日でちょうど1カ月。左眼窩底骨折で全治3カ月という診断結果に心を痛めているモバアルZ会員の皆様にお知らせです。宮本選手が先週からクラブハウスでトレーニングを開始しました。広島戦では負傷交代の後、すぐに救急車を要請して病院に搬送。チームドクターからは「目の周りの骨が折れているかもしれない」と聞いていたので私は心配で仕方なかったのですが、広島戦の2日後のクラブハウスにはいつもと変わらず秋山裕紀選手と談笑する宮本選手の姿がありました。私と顔を合わすと黒い大きなサングラスを外し、生々しい大きな青アザと見るからに痛そうな真っ赤な左目を見せてくれました。そして、「いろんな人から心配のメッセージをもらうから、できるだけ早く発表したいです」とケガのリリースについての相談がありました。

 


「一瞬のことだったので、よく覚えていないですけど、 自分が相手を止めようとして、後ろから押したような形になってしまって。相手が倒れたときには相手の足が自分の顔の前にありました。足が来たので、びっくりして引いたんですけど、もう目に直撃していたみたいな、眼球に足が入ったみたいな。よく分からなかったけど、足が目の奥の辺りまでグリって入ったような感じがしました(実際に入っていたかは定かではありません)」。激しい痛みに襲われた宮本選手は目を開けることができず、鼻血も出ていたので「絶対にどこかおかしくなっちゃった」と感じて、すぐに「ドクターを呼んでください」と自らドクターを要請。自身は「痛すぎて、わけがわかんなかった」そうですが、ピッチに倒れた宮本選手を診たドクターが「失明しているかと思った」と後から話していたほど、救急搬送されてからも緊迫した状況の中にいたそうです。

 


ゴールデンウイーク期間中は医療機関での詳しい検査を受けられないため、手術をするかしないかの判断ができず、宮本選手は受傷からの4日間はとにかく不安な時間を過ごしていました。「手術しないで治す場合もあるみたいで、自分の骨折は手術しなくてもいい箇所なのか。手術したときのリスクもあるし、逆に手術しなかったときのリスクもあるし。どちらを選択した方が復帰が早いのか。後遺症が残る可能性はないのか」。検査の結果を受けて、宮本選手は手術することを決断しましたが、「骨折した場所があと1㎝深かったら神経にかかっていたらしくて」と、最悪のケースを免れたことに安堵したそうです。「僕自身もオペは怖いし嫌だし、入院はしたくないし。手術をしなければ受傷から3カ月の復帰だけど、手術をしたら全治はオペをしてから3カ月。早く復帰したい。でもその後のことを考えたら手術した方がいいのか」。いろいろな想いが交錯して悩みましたが、チームドクターや病院の先生と最善の方法を模索した結果、左目と鼻の間にプレートを入れる手術をする決断をしました。手術を終えた日の夜には「無事です。ありがとうございます」と宮本選手が連絡をくれたので、「できるだけ早く」と希望していた負傷のお知らせは滞りなく手術の翌日に発表することができました。

 

現在の宮本選手は振動や衝撃を避けなければいけないため、ランニングや屋外でのトレーニングはできず、主に負荷が軽い筋トレやストレッチを中心に行っています。痛みはほぼなくなって、日常生活で困っているのは鼻をかめないことくらい。左の目頭にうっすらと手術の跡が残っていますが、骨折をしたとは思えないくらい目の周りは綺麗になっています。「目をこすると患部に圧がかかってしまうので、こすらないように気をつけていて、視界もだいぶ戻ってきています」と経過も順調。「骨が安定したらボールを使った練習もできるようになりますよ」と、グラウンドでのトレーニング開始に向けてフェイスガードの作成も進めています。宮本選手にとって、今回がプロになって初めての長期離脱。「体は元気なんだけど、振動を与えないように動かしちゃダメだから、サッカーができるのにできない変な感じ。どこかが痛いわけでもなくて、ボールを蹴れるのに蹴っちゃダメで。それはそれで残酷ですよ」と、動ける体を動かせずボールを蹴れない苦しさ、“できるのにできない焦り”と戦っているようです。

 


「痛みもないから僕、元気なんですよ。でも動いちゃいけなくて。同じ骨折でも(星)雄次くんみたいに動けない人もいるから。そう考えると好きなところに出かけられるので、身体を動かせない辛さも耐えられます」。松橋監督からは、「こういう時間を大切にするように」と助言をもらい、チーム練習から離れる3カ月間を有意義な時間にしたいと宮本選手は話します。自分がピッチを離れている間にルーキーの奥村仁選手、石山青空選手が結果を残したことは刺激になり、「もっと俺もやらなきゃ!」と勇気をもらいました。「ケガをしてからの3週間は、ほぼ寝たきりの生活。この1カ月はほとんど体を動かせていないので、ここから取り返さないと!」と静かに地道にトレーニングに励んでいます。「まだ時間はかかりますけど、前よりも強くなって戻ってきます」。もう誰一人としてケガで苦しむことがないことを一番に願い、サッカー選手として今の自分があることを感謝しながら、宮本選手は復帰に向けて着実に前進しています。

 


それでは、また次回。根津でした。