ゴールの裏側。アシストの感触。
チーム活動がオフとなった昨日も、何人もの選手がクラブハウスに現れ、入念にケアをしていました。前節に同点ゴールを決め、チームに勢いを授けた孝司の姿もあり、「特別なことではなく、いつもの流れ」と、ケアに余念がないのはプロ選手として当たり前といった様子。「次の試合に臨むコンディションを少しでも良くするための生活をしないといけない。だから昨日も午前中のうちにジョギングやウォーキング、ストレッチ、交代浴で汗を流し、トレーナーにも触ってもらった」ことから、今日も軽やかにトレーニングと向き合っていました。
横浜FM戦で決まった3ゴールのすべてを、繰り返しご覧になった方が多いと思います。私もその一人であり、孝司のシュートシーンは簡単そうに見えて難しいはずと捉えて、改めて振り返ってもらったところ、「伏線があった」と真剣に語り始めました。ほぼノーカットで孝司の言葉で説明します。ちなみに、後ほど海斗のゴールのアシストにも言及します。孝司のお話が完璧すぎてカットできません(笑)。だから今日の広報ダイアリーは長めでございます。
「前半の途中から海斗が左に入って、小見が右サイドハーフとなった。守備のときに小見が相手のサイドバックに引きつけられていて、小見の位置が低かった。だから相手の左センターバックは高い位置を取れていて、GKから長いボールを受けることができていた。
そういうときに小見が中間ポジションをとって背中で見ることができていたら、相手のセンターバックの位置を下げることができて、フォワードがもっとプレスに行けるようになる。仮にGKがサイドバックに長いボールを入れたとしても、ボールの滞空時間を思えば後追いでも間に合う。
だから、ハーフタイムに小見に対してポジショニングについて話をしたし、同じ右サイドの奏哉にもコミュニケーションをとって、それに対応できる高さのポジション取りをしてほしいと伝えた」。これが伏線だったそうです。それがどのようにゴールにつながったのか。ここも孝司に説明してもらいました。
「ゴールシーンの前、相手GKがセンターバックにパスを出したときに、小見が高い位置からプレスをかけようとすると、右利きの左センターバックは体を開かずにボールに向かって戻って行った。だから自分もGKのパスに対して短い距離で追うことができた。小見の立ち位置が相手のセンターバックにとって嫌なところだったから、相手はワンタッチで前に持ち直せず、後ろ向きでのトラップとなった。その時点で自分もいけそうだと思っていると、案の定右利きで体の向きをオープンにして持てず、バックパスも弱かった。
シュートそのものよりも、あのゴールは小見のポジショニングが良かったからこそ。今日のミーティングでも力さんから、小見のポジショニングがあったから生まれたゴールだぞという話があった」。試合の中で、相手の動きを見ながらチームで改善したことがゴールに繋がったということで、孝司は「ゴールを決めたあとは、小見に対してお前がやったんだよと声をかけた」と、称えたそうです。
続いて海斗のゴールは、孝司のラストパスから。一連の流れは孝司にとって相当に気分のいいプレーだったそうで、ニコニコです。ストライカーであるにも関わらずゴールと同等にアシストを喜ぶのは孝司の特徴の一つような気がします。
「トミーがボールを運んでくれて、自分が受けたとき、簡単にサイドに叩いておこうかと思ったのだが、相手の股を抜いて前を向いたとき、いろいろな選択肢が広がっていた。
一つはシンプルに小見のサイドに繋いでおこうかと。でも、それはつまらないなと、普通のプレーだなと思い、相手の矢印が小見に向いているから、別の方向を見てみようと思ったときに、海斗と目が合った。
そのときの二人の感覚として、自分は“海斗、そこだよね!”と目で合図すると、海斗は“オッケー”といった表情だった。まさにお互いの絵が合致したという感覚。海斗は相手の隙を逃さず動き出すのがうまい選手で、ものすごくいいタイミングで動いてくれたのが良かったし、海斗のファーストタッチも素晴らしかった。
あのときはとても気持ちよかったし、ゴールが決まった瞬間、アシストはこんなにも気持ちのいいものなのかと(笑)。これまでの海斗との関わりの中で、『孝司さんが前で、自分が左ならこんなプレーがしたい』という話をお互いにしていたこともあり、その成果があの場面に詰まっている」。孝司の説明にあたかも自分がピッチにいるような感覚で、鳥肌が立ちました。
そのほかにも、来月に3歳を迎える長男のそうちゃんや奥さんとの生活が、自身に相当なモチベーションを与えてくれるという話題や、達也の指導や論理的に伝えてくれる会話から、プレーの引き出しが増え続ける話題など、たくさん伝えたいことがありますが2千文字を超えてしまったので、今日はここまでにしましょう。最後に、「フォワードだし、やはり得点にこだわりを求めていくもの」と、孝司は湘南戦でチームを勝利に導くゴールを決めようと意気込んでいることを、皆さんにお伝えします。
長文にも最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。國井でした。